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⽇本を代表する美術家と⼈間国宝による
奇跡の新作

⼈間浄瑠璃「新・鏡影綺譚」

「⼈間浄瑠璃」は、⽇本を代表する美術家の森村泰昌と、世界に誇る伝統芸能・⼈形浄瑠璃⽂楽の⼈形遣いであり、⼈間国宝の桐⽵勘⼗郎が共作する⼀連のプロジェクトです。
美術家の森村泰昌は、美術史上の名画の⼈物や映画⼥優、歴史的⼈物等に扮する写真・映像作品「セルフポートレート」で国内外から⾼く評価されてきました。

桐⽵勘⼗郎は、⽴役、⼥形、チャリまで幅広い役を演じ、その⾼い技術と表現性は多数の受賞歴を有し、常に伝統芸能の新たな試みにも精⼒的に取り組んでいます。
この両者による新作は、⼈間浄瑠璃という主題を掲げ、「芸といふものは実と虚との⽪膜の間にあるもの也。」という近世⼈形浄瑠璃を確⽴した近松⾨左衛⾨の芸術論を進化させ、わが国が誇る伝統⽂化と現代芸術の共創によって未来を志向するものです。

森村は「⼈間とは何か」「⼈形浄瑠璃とは何か」を探究するために、オリジナルの床本「新・鏡影綺譚」を書き下ろしました。
本作は、1987年、⼆世桐⽵勘⼗郎の⼀周忌に際し、三林京⼦と三世桐⽵勘⼗郎(当時は吉⽥簑太郎)の姉弟による追善公演(ホフマン物語「鏡影綺譚」)から着想されました。
このオリジナルの床本に、⼈形浄瑠璃⽂楽において第⼀線で活躍する鶴澤清介が作曲、三味線を演奏し、⽵本織太夫が語り、森村が⼈形となり、勘⼗郎が森村の「⼿」を⾃ら製作し遣います。「かたち」に「いのち」をあたえ、遣う/遣われるという関係性から創出する新たな表現の可能性を追求します。

希望の“⿊浄瑠璃”

「⼤阪中之島美術館」開館記念公演

森村が“⿊浄瑠璃”と称する漆⿊の空間が、本作の特徴の⼀つです。主⼈公である⼈形師の苦悩や⼼の内に広がる無限の世界と、闇の世界からやって来る悪⻤。暗闇の世界から⽣まれ、滅していく彼らが舞う深⿊の舞台を、鏡や眼球、⽕の輪、瑠璃の⾳⾊や千条の光といったモチーフが彩ります。
太夫・三味線・⼈形という⼈形浄瑠璃⽂楽の形式を重視しながらも、シンプルで現代的な舞台空間において、⼈間の深淵な精神世界を覗き⾒るような作品となることでしょう。 “⿊浄瑠璃”は全世界的な災禍を祓うような現代の状況において、⼈間の想像⼒こそが暗闇を照らす希望の光明となることを企図しています。

本新作舞台公演は、2022年2月2日(水)に大阪・中之島に新しく誕生する「大阪中之島美術館」の開館記念公演として発表します。大阪・中之島は堂島川と土佐堀川に挟まれた東西約3kmの中州であり、古くは天下の台所として賑わい、「心中天網島」「女殺油地獄」「曽根崎心中」等の舞台になった文楽の聖地ともいえる歴史的な街です。本プロジェクトは、国際的な文化・学術拠点であり水都大阪を象徴する中之島の複数の機関や個人によって推進しています。美術館の空間に、屋外劇を彷彿させるトラスで組まれた仮設舞台を出現させ、エスタブリッシュされた伝統芸能になる以前の芸能のある姿を意図した創作に挑みます。

森村泰昌

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​桐竹勘十郎

1951年大阪生まれ。大阪市在住。1985年、ゴッホの自画像に扮するセルフポートレイト写真を発表。以後、世界の名画や歴史的人物をテーマに「自画像的作品」の制作を続ける。1989 年、ベニスビエンナーレ/ アペルト88に選出され、以降国内外で多数の展覧会を開催。

近年は展覧会のほか、舞台作品「芸術家Mの『にっぽん、チャチャチャ!』」「野生“能”」の発表、2018年には大阪・北加賀屋に 「モリムラ@ミュージアム」 をオープンするなど、活躍の場を広げている。

1953年大阪生まれ。父は二世桐竹勘十郎。1967 年、文楽協会人形部研究生となり三世吉田簑助に入門、吉田簑太郎と名のる。翌年、大阪毎日ホール「壇浦兜軍記」で初舞台。師匠からは女形の芸を、父からは立役の芸を学び、多種多様な役をこなす。2003年、父の名跡であった桐竹勘十郎を襲名。実力・人気を兼ね備え、子どもや新しいファン開拓のため、新鮮な視点で作・演出を担うこともある。2021年10月重要無形文化財保持者(各個認定)いわゆる人間国宝に認定。

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